よくある鼻の症状(2)

Symptoms of the nose

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鼻水がのどにおりる(後鼻漏)

鼻水がのどにおりてくることを後鼻漏と言います。

誰でも一日にある程度の量の鼻水が生産され、のどにもおりてくるのですが、鼻水がサラサラの時は後鼻漏があまり気になりません。鼻水の分泌量が増えた時や、鼻閉・口呼吸になっている時、鼻水が粘液性や膿性になった時には、鼻とのどの間(上咽頭)に引っかかった感じが気になってきます。

後鼻漏が気になる場合、副鼻腔炎上咽頭炎アレルギー性鼻炎血管運動性鼻炎急性鼻炎の後期、慢性鼻炎の可能性があります。
慢性的に粘液性や膿性の後鼻漏がある方では、副鼻腔炎、上咽頭炎、慢性鼻炎の可能性が考えられます(これら3つは同時に合併することもあります)。

後鼻漏の中の成分がのどの粘膜を傷めることがあり、後鼻漏が原因で咽頭痛や咽頭違和感が起こることもあります。また後鼻漏の粘り気が強いと、これがのどに下りて痰のようにからむ場合がよくあります。加齢などによる嚥下機能の低下も加わると、痰(後鼻漏)が嚥下できずに咽頭に残り、咽頭違和感が強くなることがあります。もし後鼻漏が気管に流れ込むと、特に小児や高齢者の方では呼吸器疾患(気管支炎、肺炎など)を起こすおそれもあります。

ところで、鼻とのどの間に引っかかった感じがある方の中でも、実際に視診や内視鏡(ファイバーカメラ)で後鼻漏を認めないことがあります。この場合を「後鼻漏感」と呼びます。後鼻漏感は、鼻の奥に鼻茸(ポリープ)がある場合や、逆流性食道炎により胃酸が上咽頭まで上がってきた場合などに起こることがあります。
また鼻閉・口呼吸を起こす疾患(アレルギー性鼻炎など)で、「口呼吸のため上咽頭が乾燥→その結果、上咽頭の知覚過敏が発生」となった場合や、鼻閉のために鼻水が(前に出ずに)鼻の奥にとどまる場合にも後鼻漏感は起こり得ます。
加齢により鼻や上咽頭が乾燥しやすくなることが知られており、歳を重ねて後鼻漏感が起こる方もあります(皮膚がカサカサすると同時にヒリヒリしやすくなるのと同じ現象かと思われます)。また年齢にかかわらず、ストレスの多い状態では口呼吸が増える傾向にあり、自律神経バランスの悪化も加わってこれが後鼻漏感につながる場合があります。

後鼻漏や後鼻漏感がある方は、首や肩のこり、頭重感、体のだるさを伴うこともよくあります。

後鼻漏の治療として、一般的には薬物療法(抗生物質、消炎剤、粘液調整剤、抗アレルギー剤など)、ネブライザー(吸入)治療が行われています。当院では、上咽頭炎を認める場合にはBスポット療法も行っています。

日常生活に気をつけること(冷えや乾燥を防ぐ、十分な睡眠をとるなど)も、後鼻漏改善のために非常に重要です。

後鼻漏についてのQ&A

  • Q.01 後鼻漏の原因としては、何が多いのでしょうか?

    ・粘液性や膿性の後鼻漏の原因としては、副鼻腔炎と上咽頭炎が多いです。
    ・サラサラした後鼻漏の原因としては、アレルギー性鼻炎が多いです。
    ・鼻とのどの間に引っかかった感じで受診した方で、実際には鼻からも口からも出てこず、視診や内視鏡(ファイバーカメラ)で後鼻漏を認めない場合は「後鼻漏感(←上のほうの説明文をご参照ください)」と呼び、これは年配の方に多い印象です。

    当院では、様々な原因から後鼻漏が起こることを念頭に置き、原因検索を行っていきます。

  • Q.02 後鼻漏の原因を調べるためには、どんな検査を行いますか?

    ①鼻・のどの視診、②必要あればXP検査(またはCT検査)、③必要あれば内視鏡(ファイバーカメラ)検査を行います。アレルギーが疑われる方で、まだアレルギー検査を行ったことのない方には、④鼻汁検査や血液検査を行うこともあります。

    ・副鼻腔炎は①+②(または③)で診断します。
    ・アレルギー性鼻炎は①+④で診断します。
    ・上咽頭炎は①+③+上咽頭への塩化亜鉛塗布(Bスポット療法)を一度行うことにより診断します。上咽頭炎では、塩化亜鉛を塗布した時に上咽頭からの出血や痛み(ヒリヒリ感)があります。
    ・②、④で異常を認めず、Bスポット療法で目立った出血や痛み(ヒリヒリ感)がない(でも、主に粘液性や膿性の後鼻漏はある)という場合に慢性鼻炎と考えます。
    ・②、④で異常を認めず、Bスポット療法で目立った出血や痛み(ヒリヒリ感)がない(でも、サラサラの後鼻漏はある)、温度差(寒暖差)で症状が出やすいという場合に血管運動性鼻炎と考えます。

  • Q.03 後鼻漏は治りますか?

    当院では、後鼻漏については「日常生活に支障がない(本人が気にならない)状態」が続けば「治癒」と考えていますが、発症して間もない後鼻漏は、適切な治療と養生により多くの場合治癒します。慢性的な後鼻漏(とくに発症して1年以上経過したもの)は、他の慢性疾患と同じように「治る場合もあるが、治らない場合もある」のが現状です。

    副鼻腔炎と上咽頭炎による後鼻漏は治療法がある程度確立(前者では薬物療法→無効なら内視鏡手術、後者で慢性症状では主にBスポット療法)されています。また鼻茸は手術で、逆流性食道炎は主に薬物療法で治癒に向う可能性があります。アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎は体質が関係するため完治が難しい場合もありますが、主に抗原回避(原因物質をなるべく避けること)と薬物療法で後鼻漏が気にならない状態になる可能性があります。

    治りにくい後鼻漏としては、①加齢に伴う後鼻漏感(鼻や上咽頭の乾燥による)、②多忙・睡眠不足・ストレスと関連した後鼻漏感、③慢性鼻炎による粘液性や膿性の後鼻漏があります。
    ①では、対症療法(保湿成分の点鼻薬使用、乾燥時のマスク着用など)が主体となり、完治までいかなくても日常生活の快適性を上げることが目標となります。
    ②では、何とか生活環境を変えることが必須ですが、現代は忙しい方が多いので・・治療は難航します。
    ③の慢性鼻炎の中で、視診やファイバーカメラで後鼻漏の発生部位が分からない(でも、粘液性や膿性の後鼻漏はある)場合、薬物療法(粘液調整剤、ステロイド点鼻薬など)、鼻洗浄治療が主体となりますが、決め手となる治療法がありません。
    個人的には①、②、③についても、もし「治療前の調子が(100点満点で)50点→治療後の調子が70点」となるならば治療の意義があるのでは?と考えて診療を行っています。

  • Q.04 治療にはどのぐらいの期間が必要ですか?

    後鼻漏の原因、発症から治療開始までの期間により異なります。発症から1ヶ月以内では、一度の治療だけで治癒することもあります。

    慢性上咽頭炎と診断された場合の治療(Bスポット療法)は、広島市内で行っている耳鼻科が(ネット検索した限りでは)2017年現在、当院しかないようで、通常週に1~2回ペースの治療を10回程度を目安に行っています。

    慢性上咽頭炎以外の場合、「薬物療法が主体となる病気で、遠方からの受診などで当院への継続通院が難しい方」には、他院への紹介状を作成します。慢性副鼻腔炎では、マクロライド系抗生物質の少量長期(約3ヶ月)投与が広く行われています。手術が望ましいと思われる場合は、患者さんと相談の上、手術可能な総合病院に紹介状を作成することもあります。

  • Q.05 後鼻漏を改善させるために、生活習慣で気をつけることは?

    睡眠(コンスタントに6~8時間が理想)、体の冷え(とくに首の冷え)を防ぐ、乾燥を防ぐ(部屋の湿度は40%以上)、鼻呼吸を心がける(鼻呼吸しにくい時は耳鼻科で治療を行う)が重要です。アレルギー性鼻炎の場合は、その対処(抗原回避)も必要となります。塩素濃度の高いプールで泳ぐと後鼻漏が悪化する方もあり、悪化の程度によってはプールを休むことも考える必要があります。

■(院長より) 後鼻漏の原因で、意外と多い上咽頭炎

後鼻漏の患者さんを診察する時、耳鼻科医はまず「副鼻腔炎」を疑いますが、鼻の中(目で見える部分)に異常を認めず、鼻・副鼻腔のXP検査(またはCT検査)でも異常なしということが少なからずあります。この場合に、意外と多いのが上咽頭炎です。

私(院長)は学生時代から、風邪などの体調不良時に粘液性の後鼻漏が気になることが度々あり、最寄りの耳鼻科でXP検査を行うも「異常なし」と言われていました。耳鼻科医となって研修先の病院に塩化亜鉛(Bスポット療法に使う薬剤)が置いてあり、後鼻漏がある時に上咽頭に塗布してみたところ、後鼻漏が楽になりました。私は体調不良時に「急性上咽頭炎」を繰り返していたことに、耳鼻科医になって初めて気付いたのでした(学生時代にもうちょっと一生懸命耳鼻科の勉強をしていれば、もっと早く気付けたかもしれなかったのですが・・)。
言い訳じみてしまいますが、昔も今も耳鼻咽喉科の教科書に上咽頭炎についての記載はあまりありません。そのため、「上咽頭炎が後鼻漏の原因となる」ことを意識して診察をしている耳鼻科医はあまり多くないかもしれません。

開業後は、上咽頭炎による後鼻漏の患者さんを診察する機会が多く、現在当院では月に約200人の上咽頭炎の方に専門治療(Bスポット療法)を行っています。もちろん必ずしも「後鼻漏=上咽頭炎が原因」ではないのですが、上咽頭炎は罹患者が多いわりに耳鼻科でも見逃されがちな病気です。後鼻漏が気になっており、上咽頭炎の有無が知りたい方は、一度ご相談ください。

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