上咽頭炎、IgA腎症の治療 Bスポット療法

Epipharyngeal Abrasive Therapy

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はじめに

当院では2008年の開院時から、上咽頭へ塩化亜鉛などを塗布・擦過する治療(Bスポット療法)を行っています。このページでは、上咽頭炎と、Bスポット療法の説明を行っていきます。

こんな症状は、上咽頭炎が関係している可能性があります

  • ・たびたびのどが痛くなる(のどが弱い)
  • ・鼻の奥の違和感、乾燥感
  • ・粘っこいものが、鼻とのどの間にはり付く
  • ・鼻がのどに下りる(後鼻漏)
  • ・痰がからみやすい、咳払いが多い
  • ・のどの違和感、つまった感じ
  • ・声が出しにくい
  • ・鼻の奥がにおう、口臭
  • ・のどの不調に伴う首のこり、肩こり、頭痛、頭重感
  • ・耳閉感(耳がつまった感じ)
  • ・IgA腎症と診断され、尿潜血が続いている

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上咽頭とは?

上咽頭は、鼻の奥に存在し、気道の一部を構成しています。
下図で、赤い楕円形の部分が上咽頭です。
*上咽頭・中咽頭・下咽頭をまとめて咽頭といいます。中咽頭の部分には扁桃が含まれます。
 「のどぼとけ」の周囲が喉頭です。いわゆる「のど」とは、咽頭と喉頭からなります。

鼻から吸った空気は、上咽頭で下方に向きを変えて中咽頭に流れます(下図の黄色い線)。
上咽頭は、気流が変わる部分にあるため、鼻から侵入したホコリ・細菌・ウイルスが付着しやすい場所です。

(鼻、咽頭、喉頭を横から見た図。赤い楕円形の部分が上咽頭)

上咽頭の表面には、繊毛上皮細胞が存在しています。繊毛上皮細胞からは粘液が分泌されます。分泌された粘液と繊毛運動で、外から入ってきたホコリ・細菌・ウイルスは上咽頭から中咽頭に押し流され、痰として口から排出されます。
*それに対して、中咽頭、下咽頭は主に扁平上皮細胞で覆われています。扁平上皮細胞からは粘液が分泌されません。

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上咽頭炎の原因

何らかの原因で上咽頭に炎症が起こった状態が、上咽頭炎です。
上咽頭炎という名前は一般的にまだあまり知られていませんが、のどの不調が続く患者さんの診察をすると、その多くにある程度の上咽頭炎が認められるというぐらい、とてもよくある疾患です。
上咽頭炎の原因としては、まだはっきりと分かっていないことも多いのですが

  • ①細菌やウイルス感染
  • ②体の冷え
  • ③疲労
  • ④ストレス
  • ⑤空気の乾燥
  • ⑥鼻閉を起こす疾患(アレルギー性鼻炎など)
  • ⑦後鼻漏を起こす疾患(副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など)の影響
  • ⑧逆流性食道炎

が考えられます。

なお、上咽頭は「生理的炎症部位」であり、健康な人でも軽い炎症を認めます。しかし、このページの冒頭に書いた症状が気にならなければ治療対象とはなりません。ある程度炎症が強くなり(病的な炎症となり)、症状が気になる場合に、治療を行うことになります。以後の「上咽頭炎」の記載は、ある程度炎症が強くなり症状が気になるようになった「病的な炎症」のことを指していると考えて下さい。

上咽頭炎と自律神経の関係

上記の②~④(体の冷え、疲労、ストレス)は、いずれも自律神経のバランスを乱す因子です。
慢性上咽頭炎の人では、「うたた寝をして体が冷えた」「冷房や、冷たい外気にあたり、首が冷えた」「仕事が忙しく、寝不足が続いた」といったことで炎症が悪化する場合がよくみられます。
*上咽頭炎には、急性上咽頭炎と慢性上咽頭炎があります。慢性上咽頭炎とは、上咽頭炎が長引いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合を指します。

上咽頭炎と乾燥の関係

上記の⑤、⑥(空気の乾燥、鼻閉を起こす疾患)も、上咽頭炎の原因と考えられます。
鼻閉(鼻づまり)が強い状態では口呼吸が主となり、口から空気を吸ったときに、下図(黄色い線)のようにその一部が上咽頭にも流れます。乾燥した空気が口から上咽頭に流れ込めば、上咽頭炎を引き起こす可能性が出てきます。
*鼻腔には加湿機能があります。鼻から呼吸できている状態では、鼻腔の加湿機能により、鼻から吸った空気が湿度90%近くになって上咽頭に届けられます。上咽頭が湿度の高い状態に保たれれば、上咽頭炎が起こりにくくなると考えられます。

(口呼吸では、乾燥した空気が上咽頭に流れ込む)

上咽頭炎には、後鼻漏や胃酸逆流も関連

上記の⑦、⑧(後鼻漏を起こす疾患、逆流性食道炎)も、上咽頭炎の原因と考えられます。
鼻がのどに下りることを後鼻漏と言います。後鼻漏に含まれる成分が上咽頭を傷めて上咽頭炎を引き起こす可能性があります。また逆流性食道炎で、胃酸が上咽頭まで上がってきた場合に上咽頭炎を起こし得ると考えられています。

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上咽頭炎の症状

上咽頭炎により起こり得る症状は、冒頭に書いたように多彩なものがあります。
これを6つに分類してみると、下記のようになります。

(1)上咽頭の炎症による症状(のどの痛み、鼻の奥の違和感・乾燥感、声が出しにくい)

上咽頭炎により、「のどの上のほうの痛み」「鼻とのどの間(上咽頭)の痛み、違和感・乾燥感」が起こります。「風邪の引き始めが、いつも鼻とのどの間の違和感から始まる」という人も多いようです。
上咽頭は発声にも関連し、上咽頭炎により声の出しにくさ(特にナ行の発声)も起こり得ます。

(2)後鼻漏から起こる症状(粘っこいものが鼻とのどの間にはり付く、鼻がのどに下りる、痰がからみやすい、咳払いが多い、のどの違和感、つまった感じ、声が出しにくい、鼻の奥がにおう、口臭)

上咽頭炎では、上咽頭からの粘液分泌が通常よりも増加し、これが中咽頭に下りてきます(後鼻漏)。後鼻漏は、副鼻腔炎などの鼻疾患で起こる場合と、上咽頭炎で起こる場合があります。詳しくは、後鼻漏の説明ページもご参照ください。
後鼻漏の増加により、痰がからんだ感じ、咳払いが増えてきます(痰がからんだ感じは、肺や気管支の病気以外に、後鼻漏が原因となっている場合も多くみられます)。粘っこい後鼻漏が増えると、のどの違和感、つまった感じ、声の出しにくさも起こります。とくに後鼻漏が色付き(膿性)になっている場合は、鼻の奥がにおう感じや、口臭が気になることもあります。

(3)上咽頭炎の関連痛による症状(のどの痛み、首のこり、肩こり、頭痛、頭重感)

関連痛とは「痛みの原因となる炎症部分と、実際に痛みを感じる部分が異なる現象」のことを言います。たとえば胃潰瘍で、背中に痛みが出ることがあるのは関連痛によるものです。
上咽頭炎の関連痛として、のどの他の部分(中咽頭・下咽頭など)の痛み、首のこり、肩こり、頭痛、頭重感がみられます。その他、頬骨のあたりの痛み、耳の下の痛みが起こることもあります。

(4)上咽頭炎の、隣接部位への影響による症状(耳がつまった感じ)

上咽頭と耳とは、耳管という管でつながっています。上咽頭炎により耳管咽頭口(耳管の上咽頭側の出口)付近の粘膜や筋肉に異常をきたすと、耳管疾患(耳管狭窄症や耳管開放症)となり、耳閉感(耳がつまった感じ)が起こる可能性があります。

(5)上咽頭炎の、離れた部位への影響(病巣感染)による症状(IgA腎症など)

上咽頭炎(または扁桃炎、副鼻腔炎、歯科領域の感染症)が原病巣となり、離れた部位(腎臓、皮膚、関節など)に病気を起こすことが知られており、これを病巣感染症と言います。
病巣感染症としては、IgA腎症、ネフローゼ症候群、関節炎、胸肋鎖骨過形成症、掌蹠嚢疱症、乾癬、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎などが知られています。

(6)上咽頭炎のその他の症状

上咽頭炎は、その他多岐にわたる症状を起こし得ると考えられています。
「日本病巣疾患研究会」のホームページに、慢性上咽頭炎についての詳しい解説がありますので、こちらもぜひご覧ください。
このホームページによれば、慢性上咽頭炎が関与しうる疾患として、

  • ・咳喘息など(炎症の関連による症状と思われる)
  • ・めまい、睡眠障害、起立性調節障害、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、線維筋痛症など(以上は自律神経の乱れによる)
  • ・ネフローゼ症候群、関節炎、掌蹠嚢疱症、アトピー性皮膚炎など(以上は病巣感染による)

があげられています。

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上咽頭炎と風邪は別のもの?

ここまで読んで頂いた方の中で、「上咽頭炎の症状は風邪と似たものが多いようだけど、上咽頭炎と風邪は別のものなの?」という疑問を持つ方もあるかもしれません。

実際のところ風邪の定義にはあいまいなところもある(専門家の間でも見解に差がある)のですが、日本呼吸器学会のホームページによれば「一般に鼻腔から喉頭までの気道を上気道といいますが、かぜ症候群は、この部位の急性の炎症による症状を呈する疾患をいいます。時として、この炎症が下気道(気管、気管支、肺)にまで波及していくことがあります」と記載してあります。
「風邪=通常、急性鼻炎、上咽頭炎、その他の咽頭炎、気管支炎などいくつかの部位の炎症を合併したもの」と言い換えてよいかもしれません。

耳鼻科の外来では「この1ヵ月、のどの痛みだけが続く」といった患者さんをよく診察します。風邪は通常1週間-10日程度(長くても3週間)で治るので、これは風邪ではないということになります。この場合考える疾患としては、「上咽頭炎、その他の咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、時に逆流性食道炎、稀に胸部疾患からの関連痛」といったところですが、経験上、この中では上咽頭炎が原因になっていることが多く、上咽頭炎の治療(後で述べるBスポット療法や、必要に応じた薬の処方)で痛みがすみやかに改善することもよく経験されます。

さて、先ほどの疑問に対する答えは、

  • ・風邪の時は、多くの場合、上咽頭炎にもなっている
  • ・しかし、上咽頭炎が単独でおこる場合も多い

となります。

原因の面から考えると、風邪はその80~90%でウイルスが原因となり、その他は細菌などが原因とされています。上咽頭炎はウイルス、細菌などの他に、体の冷え、疲労、ストレス、空気の乾燥などが原因でも起こると考えられます。
*マイコプラズマという微生物の持続感染により上咽頭炎が起こるケースが多いことが、最近報告されています。疲労、ストレスなどにより、マイコプラズマが活性化することにより上咽頭炎の症状が悪化している可能性があるのかもしれません。

私達が「風邪を引いたかな?」と思う時でも、厳密に言えば風邪ではなく、上咽頭炎のことが多いのではないかと考えています。

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上咽頭炎とIgA腎症の関連性

IgA腎症という腎臓病は、扁桃炎が原病巣となることが多く、2000年代に入って「扁桃摘出手術+ステロイドパルス療法(扁摘・パルス療法)」が耳鼻咽喉科・腎臓内科共同で行われました。現在ではこれがIgA腎症の標準的な治療法となり、IgA腎症の治療成績は著しく向上しました。しかし、この治療法を行っても約10~20%の人は血尿が残存し、このような症例のほとんどに高度の上咽頭炎が存在していることが、報告されています。

扁摘・パルス療法を行っても血尿が消失しないIgA腎症の症例に、後述のBスポット療法を行うと血尿が消失する例がしばしばみられることも報告されており、上咽頭炎もIgA腎症の原病巣となることがあると考えられています。
*詳しくは、参考図書の堀田修先生の2冊を一読されることをお勧めします。

IgA腎症で扁摘・パルス療法を行っても血尿が消失しないという方は、耳鼻咽喉科で上咽頭炎の有無を確認し、上咽頭炎が存在していれば、できるだけ早期にBスポット療法を開始してみると良いと思われます。

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上咽頭炎の診断、予防、治療

前に書いたような症状があれば上咽頭炎が疑われますが、上咽頭は口を開けても見えない部分にあるため、上咽頭炎は耳鼻咽喉科で内視鏡(ファイバーカメラ)の検査を行わない限り診断が困難です。
また急性上咽頭炎では上咽頭の赤みがあり内視鏡で診断しやすいのですが、慢性上咽頭炎では内視鏡で一見正常に見えることがあり、耳鼻咽喉科でも「異常ありません」と言われることが多々あるようです。
慢性上咽頭炎では、内視鏡で一見正常に見えても、上咽頭に綿棒で塩化亜鉛などの塗布(Bスポット療法)を行ったときに出血をきたし痛みを感じます。
*「上咽頭炎の原因」の項に書いたように、健康な人でも上咽頭に軽い炎症を認めるため、Bスポット療法を行うと多少しみる感じがすることはあります。何らかの上咽頭炎の症状が気になり、Bスポット療法で出血、痛みをきたす場合は、治療を要すると判断されます。

上咽頭炎の予防は、のどの粘膜の乾き、体の冷えを防ぐことが重要です。のどの粘膜の乾きにより、ウイルスや細菌が体内に侵入しやすくなります。また体の冷え(とくに首の冷え)により、自律神経のバランスが悪くなり、免疫力低下にもつながります。
のどの粘膜の乾きを防ぐためには、こまめな水分補給が必要です。この場合の水分はお茶でもよいですが、カフェインを含むお茶は利尿作用があり、かえって口の乾き感が増すことがあるので、水が最もよいでしょう。

鼻洗浄(鼻うがい)は、水分補給やうがいでは届きにくい上咽頭粘膜の乾きを防ぐために有効です。家庭で行える鼻洗浄器が市販されており、これを利用されるのもよいでしょう。また口呼吸ではなく鼻呼吸を行うことも必要です。鼻閉を伴う上咽頭炎では、鼻の治療も必須となります。

免疫力を上昇させるには、日々の適度な運動や、1日に睡眠を6-8時間とることも大切です。

上咽頭炎の治療として、当院では、Bスポット療法、薬物療法(消炎剤、粘液調整剤、抗生物質など)、ネブライザー(吸入)治療、鼻洗浄を行っています。

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Bスポット療法について

Bスポット療法は、上咽頭に塩化亜鉛などの消炎剤を直接塗布・擦過する治療法です。東京医科歯科大学元教授の堀口先生によって考案された方法で、上咽頭炎の消炎に効果的です。風邪は上咽頭の炎症から始まることも多いため、風邪の消炎にも有効です。

また、IgA腎症は、扁桃炎や上咽頭炎に続いておこることがあり、Bスポット療法を行うことによりIgA腎症が改善される可能性があります(IgA腎症は、扁摘・パルス療法を行うと80%以上で血尿が消失するとされています。扁摘・パルス療法を行っても血尿が消失しない症例では、早期にBスポット療法を行ってみると良いと思われます)。

塩化亜鉛は、鼻の中、または口の中から綿棒で上咽頭に塗布・擦過します。病的な上咽頭炎のある場合は、治療時に綿棒に血液が付着し、ある程度痛みを生じます。しかし、治療後数時間は痛いものの、その後で症状(上咽頭の痛み、後鼻漏、頭痛など)が改善するケースが多くみられます。

急性上咽頭炎では、一度の治療だけで症状が軽快する場合もあります。慢性的な上咽頭炎に対しては、週に1~2回のペースで10回程度を目安に治療を行っています。


(Bスポット療法)

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上咽頭炎、Bスポット療法についてのQ&A

Q.01 どんな人にBスポット療法が行われていますか?

「のどの炎症をよく繰り返す」「元々のどが弱い」「風邪をひきやすい」という方に、この治療を積極的に行っています。またホームページを見て来院される方も多いです。
IgA腎症や、少数ですが子宮頸がんワクチン後遺症、掌蹠膿疱症、他院で慢性疲労症候群と診断された方も、この治療に来院されています。

適応年齢は中学生以上としています(小学生では、治療に恐怖心を持つかと思われるので)。妊娠中、授乳中の方も治療は問題なく行えます。
喘息で最近発作が出た方、高齢者などで血流改善剤(ワーファリンなど比較的強い薬)内服中の方は治療を差し控えています。

Q.02 Bスポット療法は痛いですか?

当院では、鼻と口からそれぞれ綿棒と捲綿子(けんめんし=大きな綿棒)で上咽頭に塩化亜鉛などを塗布・擦過(さっか=こすること)します。鼻腔が狭い場合、上咽頭の炎症が強い場合はある程度痛いです。傷口に消毒薬を塗った時のしみる感覚に近いかもしれません。耳の奥に放散痛が出る方もあります。成人の方であれば、鼻からの塗布はほぼ問題なく可能です。

口からの塗布・擦過は、咽頭反射の強い方(えづきやすい方)では困難です。口からの塗布・擦過が出来ない場合は、鼻からの塗布・擦過のみ行います。
治療を繰り返すことにより炎症がおさまれば、治療時の痛みは少なくなってきます。

Q.03 Bスポット療法の副作用は?

塩化亜鉛が嗅神経(鼻の上部)にさわり、嗅覚障害が起こったという報告があります。通常の治療(綿棒を使用)では、鼻の上部はさわらないためまず問題ありません。
治療後の副反応として、鼻水が一時的に増える方があります。その他、治療後しばらくして倦怠感を訴える方もあります。これらは綿棒による鼻腔刺激、迷走神経(副交感神経)刺激によるものと考えられますが、起こっても数時間でおさまります。

Q.04 Bスポット療法には何回通えば良いですか?

症状の重症度、罹病期間などにより変わります。急性上咽頭炎であれば、1回の治療で症状改善し終了となる場合もよくありますが、罹病期間が1年以上の方は治療に時間を要します。目安として、慢性上咽頭炎の方には週1回の治療でまず10回継続をお勧めしています(慢性の病的炎症を起こした上咽頭粘膜が正常化するには、少なくとも3ヶ月程度を要すると考えられています)。
上咽頭炎と他の鼻疾患(副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など)を合併している方は、他の鼻疾患も並行して治療を行います。

治療終了の判断基準は、①患者さんの症状が日常生活に気にならないレベルになった、②綿棒に血液が付着しなくなった、③治療時のしみる感じがなくなったの3点です。この中で最も重視するのは、①です。

初診時、「Bスポット療法で痛みがさほどなく、綿棒に血液が付着してない。ファイバーカメラでも上咽頭に異常を認めない」場合は、上咽頭炎はないという判断となるため、以降のBスポット療法は原則として行いません。

Q.05 実際のところ、Bスポット療法の効果はどうですか?

患者さんの症状の主な原因が上咽頭炎と思われる場合は、Bスポット療法で症状の改善がはかれると考えています。上咽頭炎の症状については、当ページの該当箇所をご覧ください。

実際には、複数の場所に炎症(副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、扁桃炎、歯科領域の炎症、逆流性食道炎など)を合併している方もあり、上咽頭以外の異常検索が必要となることもあります。

私(院長)は、仕事の性質上(毎日、風邪の患者さんを診察)もあり、急性上咽頭炎を時々起こしかけます。でも倒れて休診にはできないので、①数十分おきに水分補給、②のどがおかしいと思ったらすぐBスポット療法、③体を温める漢方薬(葛根湯など)内服の3つで、開業以来9年間休診なく乗り切ってきました。なので、「のどの炎症をよく繰り返す」「元々のどが弱い」「風邪をひきやすい」方には特に、Bスポット療法をお勧めしています。

しかし、中にはBスポット療法が効きにくいケースも複数経験しており、Q6にまとめてあります。

Q.06 Bスポット療法が効きにくいのはどういうケース?

Bスポット療法が効きにくいケースを挙げてみました。

①そもそも上咽頭炎ではない(適応外となります)
②鼻腔がせまく、咽頭反射も強い方(上咽頭に塩化亜鉛を塗布しにくい)
③定期的に受診できない(当院の診療時間設定もあり、すみません)
④生活習慣・環境(睡眠不足、ハードワーク、空気の乾燥、など)
⑤他に呼吸器疾患がある方での「痰のからみ」症状
(Bスポット療法で痰が改善する可能性もありますが、内科での治療継続も必要です)
⑥上咽頭の腫れが強い場合(幼少期のアデノイドが残存している場合、治療期間が長期化するケースや、効きにくいケースがあります)
⑦患者さん自身の免疫力
(これが難しいところなのですが・・他に慢性炎症性疾患を持つ方などは、Bスポット療法で一時的に症状改善しても、しばらくして症状再発することもあります)

また症状としては、「粘っこい後鼻漏」は治療に時間を要したり、治癒に至らないことがあります。
Bスポット療法の継続で上咽頭炎は改善しても、
⑧慢性副鼻腔炎が合併しており、薬物療法で副鼻腔炎が改善しない(高齢等の理由で内視鏡手術も不可能)
⑨粘っこい後鼻漏が主に鼻粘膜由来(慢性鼻炎)の場合などは、
粘っこい後鼻漏の軽快につながらないこともあります。

上記の①、②は、初診時に判明するため、治療が難しいことをはっきりと説明いたします。
上記の④~⑨の場合、完治までいかなくても、ある程度改善する可能性はあり、上咽頭炎の有無が気になる方は一度ご相談ください。

Q.07 いろいろな症状に効く可能性があるようですが、Bスポット療法が受けられる耳鼻科が少ないのはなぜ?

Bスポット療法自体は、耳鼻咽喉科で1960年代から行われている歴史のある治療法です。1960年代、70年代の耳鼻科開業医では、今よりもよく行われていたようですが、それ以降、施行する耳鼻科医が少なくなってしまいました。

Bスポット療法が衰退した原因としては、
(1)Bスポット療法は万病に効くという論調が、結果的に医師の懐疑心を招いた
(2)ある程度、痛みを伴う治療であること(「あの耳鼻科にかかったら、痛い治療をされた!」という悪い評判が広まるのは、好ましくないので・・)
が挙げられます。私が学生時代に勉強した耳鼻咽喉科の教科書にも、上咽頭炎やBスポット療法のことはほとんど書いてないため、上咽頭炎について関心を持つ耳鼻科医はまだ少数と思われます。

しかし近年では、内視鏡技術の進化により上咽頭の病変が観察しやすくなり、それに伴ってBスポット療法が再評価されてきています。2010年代に入って、上咽頭炎や病巣感染についての全国的な研究会(主に耳鼻咽喉科医、内科医、歯科医が参加)も定期開催されるようになりました。またネットでは、実際にBスポット療法を受けて何らかの効果があったという患者さんの口コミが増え、Bスポット療法の全国的な治療件数はこのところ増えてきていると思われます。

Q.08 費用はいくらかかりますか?

再診時の窓口支払いは、3割負担の方で約300~500円ほどです。薬が処方される場合は、他に処方箋料210円+院外薬局での薬剤料などがかかります。
初診時や、Bスポット療法の効果確認時などは必要な検査を行います。検査費用は下記をご参照ください。
なお当院でBスポット療法を行う場合、「指定難病の医療費助成制度」の対象とはならないためご注意ください。

主な検査の費用

3割負担の方の場合、

ファイバーカメラ:1800円
副鼻腔XP:
860円、副鼻腔CT:3390円
アレルギー検査(鼻汁好酸球検査):420円
アレルギー検査(血液検査):ハ
ウスダスト、ダニ、カビの3項目で1500円、
              追加で1項目増える毎に330円(最大13項目まで保険適応)
細菌培養検査:
約900~1800円(検出菌の数によって異なります)

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参考図書のお知らせ

上咽頭炎、Bスポット療法などについて解説された本を、ご紹介します。

病気が治る鼻うがい健康法 体の不調は慢性上咽頭炎がつくる(角川マーケティング)

IgA腎症に対する扁摘・パルス療法のパイオニアの堀田修先生の本です。上咽頭炎、Bスポット療法、病巣感染、鼻うがいなどについて、分かりやすく書かれています。上咽頭炎、病巣感染症の患者さんや、のどの健康を保ちたい方にぜひ読んで頂きたい本です。

道なき道の先を診る 慢性上咽頭炎の再興が日本の医療を変える(医薬経済社)

上記の続編となる本です。Bスポット療法の治療成績や、治療の歴史についても詳しく書かれています。

自律神経を整えて病気を治す! 口の体操「あいうべ」(マキノ出版)

鼻呼吸を促すための「あいうべ体操」を考案した今井一彰先生の、分かりやすいムック本です。ある小学校で「あいうべ体操」を行ったところ、インフルエンザの罹患児が大きく減ったとのことで、鼻呼吸の重要性は今後広く認知されていくと思われます。

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終わりに(Bスポット療法外来のお知らせ)

このページを最後までお読み頂き、有難うございました。

途中にも少し書きましたが、私(みやけ耳鼻咽喉科院長 三宅)は疲労や寒冷刺激で上咽頭炎を起こしやすい体質です。当院開業後は、のどがおかしいと思ったらすぐBスポット療法を行い、体調の悪い日が格段に減りましたが、それでも睡眠不足やハードワークが重なると声の調子が悪くなる日があります。上咽頭炎は、Bスポット療法と生活習慣の改善(とくに睡眠)が治療の両輪と感じています(実際のところ、睡眠時間確保は難しい問題なのですが・・)
当院は開院当初からBスポット療法を行ってきたこともあって、私と同じような症状の方が多く来院され、現在は月に約200人以上の方にこの治療を行っています。

上咽頭炎は非常にありふれたよくある疾患なのですが、上咽頭炎診療の問題点は、「上咽頭炎は耳鼻咽喉科で内視鏡(ファイバーカメラ)の検査を行わない限り診断が難しく、慢性上咽頭炎では内視鏡で一見正常に見えることもある」という点にあります。上咽頭炎診療に慣れた耳鼻咽喉科医でなければ、上咽頭炎が見逃されることが多く、その結果、症状が長引く患者さんが多いように思われます。

このページは、上咽頭炎の解説と、Bスポット療法の効果や効きにくいケースについても記載し、この治療の対象患者さんに出来るだけ届くことを目的に作成しました。

初診の際は、治療方針決定のため、問診や検査である程度の時間が必要となります。平成29年10月から、平日に不定期ですが初診の方を対象に、時間予約制の「Bスポット療法外来」を行うことになりました。
平日の通常診療時間でも検査は行いますが、混雑状況により細かい説明が行えない日もあります。時間の合う方は電話で「Bスポット療法外来」を予約の上、受診されることをお勧めします。

予約手順

  • 1) 下記の予約可能日をチェック
  • 2) 当院の診療時間内(平日9時~12時、15時~17時半。土曜9時~11時半、13時~15時)にお電話ください(電話 082-573-6667)
  • 3) 当院は一般診療では予約制をとっていません。必ず、「Bスポット療法外来の予約を・・」とお伝えください。
  • 4) 予約後キャンセルの場合も、診療時間内にお電話ください。

Bスポット療法 予約可能日(平成29年10月19日現在)

  • 10月診察分の予約受付は終了しました。
  • 11月以降の予約可能日は、後日掲載いたします。
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