アレルギー性鼻炎・花粉症

Allergic rhinitis, Pollen allergy

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アレルギー性鼻炎・花粉症

アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻漏、鼻閉などの症状がアレルギー反応によって引き起こされる病気です。アレルギー反応の原因となるものを抗原と呼びます。アレルギー性鼻炎の中で、花粉が抗原となるものを花粉症といいます。アレルギー性鼻炎の代表的な抗原には以下のようなものがあります。

アレルギー性鼻炎の主な原因物質(抗原)

  • ・2月下旬~3月下旬:スギ花粉
  • ・3月下旬~4月下旬:ヒノキ花粉
  • ・5月~8月:イネ科の花粉(カモガヤ、イネなど)
  • ・8月~10月:キク科の花粉(ブタクサ、ヨモギなど)
  • ・一年中:ハウスダスト(ホコリ)、ダニ、カビ、ペットの毛など

ダニは6月~7月に増殖し、8~9月に死ダニが増え、この死ダニがアレルギーの原因となります。

アレルギー性鼻炎による鼻漏は、サラサラした鼻漏(漿液性鼻漏)です。鼻閉により嗅覚障害が生じることもあります。目のかゆみを伴うことが多く、これが風邪による急性鼻炎との相違点となります。その他に、耳のかゆみ、皮膚のかゆみ、のどのイガイガ感、咳、下痢を伴うこともあります。

アレルギー性鼻炎は、病歴、症状、鼻腔内の所見(鼻粘膜の腫れ、鼻粘膜の色が蒼白になっているなど)だけで診断可能な場合も多いのですが、他の病気(風邪など)との鑑別のために鼻汁検査を行うこともあります。

治療の基本は、原因物質(抗原)をなるべく避けることです。花粉が抗原になっている場合は、外出時にマスクをするのが最も効果的です。ハウスダストやダニが原因になっている場合は、寝具を小まめに洗濯すること、ダニは熱に弱いので布団乾燥機で寝具を熱すること、できればカーペットをやめることなどが効果的です。

「アレルギー性鼻炎のような症状があるが、何に対してのアレルギーなのか調べたことがまだ無い」という方は、一度アレルギー検査を受けることをお勧めします。抗原を避けるだけで、症状が大きく改善されることもあります。

薬物療法(内服薬や点鼻薬)は、アレルギー性鼻炎の最も一般的な治療法です。花粉によるアレルギー性鼻炎(花粉症)などで症状の持続期間が短い場合は、市販薬でしのぐのも一つの方法です。以前は病院で処方されていた薬の一部がスイッチOTC薬として薬局で購入できるようになってきています(アレグラ、アレジオンなど)。しかし市販薬の効き目が弱い方、副作用(眠気、口の乾きなど)が気になる方は、病院を受診されたほうがよいでしょう。また、市販の点鼻薬の使いすぎは薬剤性鼻炎を起こすおそれがあり、注意が必要です。

当院では、患者さんの症状に応じ、漢方薬も含めて、薬を細かく使い分けています。効き目が強めの薬は眠気が出ることもあるため、薬で眠くなりやすい方や仕事で運転をする方には、眠くなりにくい内服薬+効き目を補う点鼻薬を組み合わせて処方します。アレルギー症状が安定した方では、一度に60日分までの長期処方も行っています。

内服薬や点鼻薬による治療は、アレルギー性鼻炎の症状を抑えるために効果的ですが、これらの治療はあくまでもアレルギー症状を抑えるものであって、アレルギー体質を根本的に治すものではありません。

当院では、内服薬、点鼻薬以外の治療法として、レーザー治療減感作療法を行っています。

スギ、ヒノキ花粉症の予防法

  1. 1.テレビやインターネットでの花粉飛散情報をチェックする。(リアルタイムの花粉飛散状況を知るためには、環境省の「はなこさん」というサイトが便利です。)
  2. 2.花粉の多い日、風の強い日は、できれば外出を控える。
  3. 3.買い物などは、朝の早いうちにすませる。(朝10時を過ぎると、花粉飛散が多くなってきます。)
  4. 4.外出時はマスクを着用する。花粉症のひどい人は、メガネ、帽子も着用する。衣服は、花粉のくっつきにくいものにする。
  5. 5.帰宅時は、ドアの前で衣服や帽子についた花粉をよくはらって落とす。家の中に入ったら顔を洗い、うがいする。シャワーを浴びるのもよい。
  6. 6.部屋の窓は閉める。じゅうたんはなるべく敷かない。加湿して、乾燥しないようにする。
  7. 7.花粉の飛散の多い日は、ふとんを外に干さない。洗濯物を外に干さない。

アレルギー検査について

当院ではアレルギー検査として、主に鼻汁検査と血液検査を行っています。

鼻汁検査

綿棒で少量の鼻汁をとり、これを染色した後に顕微鏡で観察します。アレルギー性鼻炎による症状が出ている時は、鼻汁中に好酸球という細胞が多くみられます。風邪による急性鼻炎では、鼻汁中に好中球という細胞が多くみられます。この違いにより、アレルギーか風邪かの区別がつきやすくなります。

検査費用は、3割負担者で約400円です。

血液検査

鼻汁検査では、アレルギーの有無は分かりますが、何に対してのアレルギーがあるのかまでは分かりません。血液検査(RAST法)は、アレルギーの原因抗原を知るために有用な検査です。通常の採血と同じように血液を採取し、4~5日後に結果が判明します。

測定可能な抗原は約200種類ありますが、保険では13種類までの検査が認められています。

検査結果は、それぞれの抗原に対する血液中IgE抗体の量で表されます(IgE抗体はアレルギーに関係する物質で、体内に抗原が入ってきた時に、その抗原と結合しアレルギー症状を引き起こします。一般的に体内のIgE抗体の量が多いほど、アレルギー症状が起こる率が高いとされています)。

検査費用は、7種類の抗原(例えば、スギ、ヒノキ、イネ科植物、キク科植物、ハウスダスト、ダニ、カビ)について調べた場合、約3,000円です(3割負担者の時)。 

局所性アレルギー性鼻炎

「アレルギー性鼻炎のような症状があり、鼻腔内の所見からもアレルギーが疑われるのに、鼻汁検査も血液検査も異常なし」という方が一定の割合であります。この場合、血管運動性鼻炎(温度差(寒暖差)などによる鼻炎)、または局所アレルギー性鼻炎の可能性が考えられます。

局所性アレルギー性鼻炎は、近年その存在が報告されました。この病気は「鼻の粘膜内にだけIgE抗体が存在し、何らかの抗原(ハウスダスト、花粉など)によりアレルギー性鼻炎・花粉症と同じような鼻の症状が出るが、全身の血液中のIgE抗体は正常範囲」という特徴があります(IgE抗体が鼻の粘膜内だけにとどまっており、全身に回っていない状態と考えられます)。そのため、上述した血液検査を行っても「異常なし」との結果となります。

鼻の粘膜内のIgE抗体は今のところ測定困難なため、局所性アレルギー性鼻炎ははっきりとした診断が困難な病気です。診察・検査の結果、局所性アレルギー性鼻炎が疑われる方には、鼻炎症状の出現時期(季節性があるのか、一年中なのか、室内または屋外なのかなど)によって抗原を推測し、抗原を避けていただいているのが現状です。当院ではアレルギー性鼻炎の原因物質(抗原)を避けるために、一度アレルギー検査を行うことをお勧めしていますが、現在の技術的に、アレルギー検査ではっきりとした結果が出ない場合もあることをご了承ください。

鼻炎・花粉症のレーザー治療

鼻粘膜にレーザーを照射し、鼻閉、くしゃみ、鼻漏を改善させる治療法です。鼻閉に対しては約80%と有効率が高い治療法です。著効例では薬が不要となることもあります。効果が約半年~2、3年しか持続しないのが難点です。(詳しくは、「レーザー治療」のページをご覧ください)。

アレルギーの体質改善治療(減感作療法 注射法)

減感作療法は、抗原(スギ花粉など)を薄めたエキスを皮下注射する治療法で、現在行われているアレルギー治療法の中では、根本治療に最も近いものです。鼻症状(くしゃみ、鼻漏、鼻閉)に対しての有効率は約70~80%です。治療に時間と手間がかかるのが難点です。最初はごく少量の注射から始めて、週1~2回程度のペースで注射を続けます。注射のたびに抗原の量を増やしていき、体を徐々に抗原に慣らしていきます。

減感作療法のメリット、デメリット

  • メリット

    • ・副作用はほとんど無い。
    • ・有効例では、アレルギーの薬が不要となることがある。
    • ・10年以上の長期にわたり効果が持続する場合もある。
  • デメリット

    • ・ごく稀に、副作用として喘息症状が出ることがある。
    • ・少なくとも30回以上の通院(注射)が必要。
    • ・無効例が約20~30%ある。

喘息症状の副作用については、起こるとしても多くは注射後15分以内に起きるため、当院では注射後15分間は院内にいていただき、万一の場合も迅速に対処できるようにしています。また治療初期には、副作用を抑えるための抗アレルギー剤を内服していただくことがあります。

  • 減感作療法が有効と思われるケース

    • ・スギ、ヒノキ花粉症である。
    • ・最低限、2週間に1回は受診できる。
  • 減感作療法が難しいかと思われるケース

    • ・多数の抗原に対してアレルギーがある。
    • ・多忙のため定期的な通院ができない。

当院では、スギ花粉、ハウスダストの減感作療法を多く行っています。

治療が適当かどうかの判断材料として、当院ではまずアレルギーの血液検査を行います。上記にはありませんが、ヒノキ花粉症の方は、減感作療法の適応となります(スギ花粉エキスの注射が、ヒノキ花粉症の方にも効果があることが知られています)。

スギ花粉エキス、ハウスダストエキスは、同一日に注射可能です。注射は予防接種用の細い針で行うため、注射時の痛みは少ないと思います。しかし、抗原エキスには刺激性があるため、数十分間ほど注射部位にジンジンと刺激感がすることがあります。

春の花粉症の方は、飛散シーズンの終わった5月~秋になるまでの間に治療を開始するのが良いでしょう(春の花粉飛散中は、治療を開始できません)

治療は保険適応となり、費用は再診料、注射料含めて、1回の治療につき約500円程度です(3割負担者の場合)。当院では現在、小学生~60歳代まで幅広い年齢層の方が減感作療法中です。興味のある方は、一度ご相談ください。

アレルギーの体質改善治療(舌下免疫療法)

2014年から開始された舌下免疫療法(経口薬による体質改善)については「鳥居薬品の舌下免疫療法専門サイト」に詳しい説明があり、ご参照ください。舌下免疫療法は、家庭で体質改善治療ができる(病院への通院は月1回)というメリットがあるものの、3~5年間の治療継続を要する、無効例もある、治療の長期成績はまだ分からない、シダトレン(スギ花粉用の薬)のヒノキ花粉への効果が十分確認されていない、という問題点があります。

「3~5年間、毎日薬の継続服用が必要です」「薬を継続服用しても効かないこともあります」という説明を聞いてどう受け取るかは、人により様々かと思います。他に有効なアレルギー性鼻炎の治療法がなく、3~5年間続けるしっかりした覚悟がある方には、当院で処方可能ですのでご相談ください(服用開始してすぐ効果が出るものではないことをご理解ください。毎日の継続服用が難しい方は、安全にも関わることなので、当院の判断で処方を中止することもあります)。

薬物療法、レーザー治療、減感作療法によってもアレルギー性鼻炎が改善されない場合、後鼻神経切断術という手術法もあります。広島県内では一部の総合病院のみで行っている手術で、全身麻酔で入院期間も1週間ほどかかりますが、適応かと思われる方は当院で総合病院への紹介状を作成いたします。

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